cineXtools導入事例

4Kファイルベース編集でテープ同様のインサート編集を実現。作業の効率化と編集時間短縮を可能に

IMAGICA Lab.は、映像コミュニケーションカンパニーとして、映像の企画・制作からポスプロ業務、流通・運用をトータルでコーディネート、フィルム現像などのアナログからCG、ゲームグラフィック、Webなどデジタル領域まで幅広く手掛けるリーディングカンパニーである。主な業務は映画・テレビ番組・テレビコマーシャルに関するポストプロダクションのほか、 フィルムの現像、カラコレ、テレシネ、合成、テロップ、編集、MAなどを行っている。

4Kの放送はすでにBSにより本格的な放送が始まり、NHKほか民放からも番組が家庭に届けられている。8Kも2018年から実用放送がスタートし、オリンピックが始まる2020年に向けて総務省が推進、すでにパブリックビューイングや実験放送などが開始されている。
2016年には、株式会社ロボットが企画・演出、株式会社IMAGICA Lab.がポストプロダクションを担当し、8K/HDRによる実写オリジナル作品『LUNA』を制作。2019年7月7日にはNHK BS8Kにて放送された。

IMAGICA Lab.の渋谷スタジオと渋谷公園通りスタジオには、編集を行うEDグループと音声のMAグループがあり、主に放送局向けの4K8K番組編集やMA業務を行い、ドキュメンタリーや紀行もの、科学サイエンスなど様々な内容の番組を手掛けている。

今回は、テレビ事業本部 赤坂・渋谷制作部 EDグループの小部 昌史 氏と渋谷 泰貴 氏にお話をお伺いした。

CineXtools インサート編集画面
(8K/HDRオリジナル作品『LUNA』より)

Adobe Premiereタイムライン

4K環境の現状と抱えていた問題

4K8Kではファイルベースの編集が一般的となっており、テープ編集と違って作業はPCで行い、編集が終了してから書き出しするという工程が必須だ。そして書き出しには現状長時間かかる工程となっている。現場では夕方作業が終了した後に、ひと晩かけて書き出しするようなことが一般的だ。もし、書き出した後の納品前チェックで問題があったり、納品後に修正が入った場合は、修正作業以外に再度長時間の書き出し工程を経なくてはならない。

「基本4Kはファイルベースなので書き出した後では、1箇所直すだけでもやり直しになり、再度書き出しになってしまうんです。納品前チェックで何か問題があると修正後書き出しにということになりますし、納品後も局内でもチェックがあってそこで問題が指摘されることもたまにあります。ほかにもテロップやクレジットの入れ忘れで修正があったりします。とにかく、一旦書き出してしまったらほんのちょっとした修正でも、同じ時間をかけて再度書き出しをしていました。実際たった1箇所の修正でも8時間かかりますって言うとびっくりされる方もいますね。」

「放送番組では放送時間に合わせて尺が決まっているので、修正を行う場合はインサート編集ということになるんですが、そもそも書き出したファイルに対してインサートできるという概念が全く無かったんです。最初から不可能だと思っていました。社内では、できたら良いよねって話はしてはいたんですけどね。」

渋谷 泰貴 氏:渋谷公園通りスタジオ立ち上げに携わり、現在、4K8K編集のためのスタッフの采配等バックグラウンドの技術コーディネートを担当。

ファイルインサート編集とマルチクリップインサート編集に注目

「噂では、一度書き出したファイルにもインサートできるってことで、驚きました。それが本当なら今までの夢がかなうぞって思いました。例えば書き出しに8時間かかったものに修正が入ると、また8時間ほどの書き出しが必要になりますから。インサート編集が実現すればファイル納品におけるハードルを物凄く下げることが可能になるんです。というのも、インサート編集ができれば、問題のあるところだけ修正すれば済みますからね。書き出しも修正した部分以外はそのままなので短時間で済むんです。」

cineXtoolsは4K|UHDをサポートしているほか、XDCAM、XAVCコーデックに対応しており、TimeCode編集、トリム、オーディオバージョン管理などにも対応している。今回注目されたのはファイルインサート編集とマルチクリップインサート編集だ。

 

「今までは修正後に書き出したファイルも、最初から見てチェックしなくてはなりませんでした。cineXtoolsは修正した部分しか処理しない仕組みなので、書き出しにかかる時間がすごく短くて済むだけでなく、チェックも修正したところを中心に多少前後も見る程度ですみます。ほかにも複数箇所の修正も編集点を指定してまとめて行うこともできます。実は最初の頃は不安もあり、今まで通りのチェックをしてたんですが、問題が有ったことは一度もありませんでした。」

 

納品前チェックや納品後の修正が有った場合の作業時間が短縮

「具体的にどのくらい短縮されるかという話になるでしょうが、これはものにもよりますね。通常の書き出しに比べてだいたい8分の1程度という感じです。ほかにもワークフロー上で効率的に作業できるので、全体的にみると従来よりかなり作業時間の短縮が可能になるんです。」

小部 昌史 氏:編集からカラーグレーディングまでの作業をカバー。4K編集からカラーグレーディングまでの作業を一貫して行う映像のエキスパート。関わった主な番組には、BS4K放送開始記念特番「大いなる鉄路」やBS日テレ「えなり&泉㊙モナコ旅」やBS朝日「子供たちに残したい 美しい日本のうた」 などがある。

ProResの書き出し、インサート編集にcineXPlugin

「書き出したファイルの修正をcineXtoolsで行うこと以外に、弊社で主に使っているAvid Media Composer やAdobe Premiereに対応したプラグインcineXPluginsというものがあるんです。
ProResファイルにインサート編集するときはVBRからCBRにリラップしなくてはならないんですが、プラグインソフトから直接CBR対応のProResを書き出せるんです。こうしたプラグインを併用することで更に効率的な作業が可能になります。しかもCBRの書き出しがすごく早い。Avid Media Composer 純正のインサートではDNxやXAVCコーデックに限定されていてProResコーデックに対応していないんです。そこを補完してくれるプラグインとしても素晴らしいですね。」

Avid Media ComposerからのProRes書き出し

HDまではビデオテープやディスクが記録媒体として使うことが可能だったため、インサート編集を行うことが容易に可能だった。納品後でも局内で簡単に修正することができるというわけだ。ところが、4K8Kでは完全にファイルベースになり、書き出したファイルに直接インサートができない環境では最初に書き出したときとほぼ同じ時間をかけて書き出ししなくてはならない。現状ではこの書き出しにかかる時間が長時間になることが多く、4K8Kの編集現場の最大の課題の1つと言えるだろう。
cineXtoolsは、そうした書き出し時間の短縮のほか、その後のチェックもインサートした部分だけで済ませることが可能なのでそうした部分でも時間をセーブできる。

一般に局納品後の修正はそれほど頻繁なものではないが、ネット系の配信ではシステム違いということもあってか、納品後や公開後であっても修正が多いという。
これは、放送ではいったん流してしまえばそれで終わるからだ。配信系はそうはいかない。放送局などでも見逃し配信をしている番組もあるが、この過程において視聴者などからの指摘に応じて修正が必要になってくるというわけだ。
cineXtoolsはこうした放送の環境やシステムの変化に対応し、効率的な4K8Kインサート編集を可能にした画期的なソフトと言えるだろう。

cineXtools

ノンリニア編集で完成したファイルを出力後にリテイク作業が発生した場合、一度書き出したファイルに直接インサート編集を可能とするスタンドアローン・アプリケーションソフトウェア。編集ワークフローの軽減を加速し、費用削減と時間の短縮を可能にします。

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